

- -- 美容に関しての熱意は天性のものだったのかもしれませんね。
- A:大好きでしたね。
小さい頃から、夏に冬の格好をして、冬に夏の格好をするようなおかしな子だったんです(笑)。
人形の髪型を自分なりにジャキジャキ変えたり。中学校の頃がもうピークでしたね。
髪型も洋服もメイクも。だから昔からずっと美容に興味があったんですね。
今でもそのスタンスは変わらないです。
- -- 実際にプロとしてお仕事をするようになってから変化はありましたか?
- A:なにより責任重大ということでしょうね。ミュージシャンのファンの方からお手紙やメールをよく頂くんです。写真とかライブとかで荒木さんのヘア&メイク見ましたって。もう、“うわ~! 見られてるんだ~!”ってなります(笑)。そういった意味でも無責任なことはできないですね。
今は自分の作品を客観的に見れるようになりましたけど、昔だったら東京ドームでの仕事とかとなると、もうプレッシャーで頭がおかしくなるような感じだったんですよ。一番好きな仕事はライブなんですが、以前はライブなんて、動いちゃえば髪型とか崩れちゃうじゃんって思っていた高飛車な時代がありまして(苦笑)。
だけど、ある時、L'Arc~en~Cielの大きなツアーに同行してくれという依頼があって。初日にメイクとかして、いざライブが始まったんですよ。そしたら、大きな画面にドカンとメンバーが映し出されて。私、その瞬間、ごめんなさい~って(笑)。私が今やったものを、何万人が一斉に見ちゃうんだ!って怖くなりました。私今日、大丈夫だったかなと不安になって。
だからライブが終わった後、楽屋でメンバーひとりひとりに謝罪しました。ライブを見くびってましたって。穴があったら入りたかったです。でも、今振り返ると、その頃はまだ、フリーになって1年くらいで、肩肘はってたんだなとわかります。自分を表現者だと勘違いしてましたね。また、そうしなきゃやっていけない時代だったと思いますし。
- --今現在はどうですか?
- A:ヘア&メイクアップで表現はしているので、もちろん私もアーティストではあるんですが、最近考え方が変わってきました。“表現者”っていうのはちょっと違うのかもしれませんね。ミュージシャンであったり役者さんに奉仕するのが自分の仕事だという気持ちが強くなってきました。
私の作品は、けっこう派手なものもあったりしますけど、その人のテンションによって変わるから、あくまでその人ありきのものなんです。
今、私は自分のヘア&メイクアップで、いかにその人が持つ本来のオーラがでるようになるかってことしか考えてないんです。ここ3~4年でそういう風に考えるようになってきましたね。
(text: Nobumichi Negoro)
(※1)1982年、カルチャー・クラブのボーカリストとしてデビュー。中性的なメイクと独特のハイトーンボイスを駆使した楽曲で「君は完璧さ」「カーマは気まぐれ」などヒットを連発。80年代のMTVを中心としたミュージック・ビデオの黎明期を牽引した。
荒木尚子 プロフィール
ヘア&メイクアップアーティスト。アトリエオクトーブル代表。
アトリエオクトーブル代表。
BUCK-TICK、L'Arc~en~Ciel、UVERworldなど数多くのアーティストのヘア&メイクをてがける。
CMやポスター、CDジャケット、PV、映画などをビジュアライズする美のプロデューサーとしての活動が国内外から高い評価を得ている。
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